2012年4月1日日曜日

インターネットとお金の話



こんばんは。
カーチャンでも分かる「さちこのテクノブログ」でございます。
役に立つんだかたたないんだかわからないこの説明シリーズ第2弾は、前回に引き続き

インターネットとお金の話」です。




とりあえず前回で、インターネットとは「インターネット・サービス・プロバイダ(ISP)」という事業者たちが仲介する巨大な「つながり」ということが分かりました。
そして、僕達がインターネットを使う(=自分のパソコンや携帯電話をインターネットに繋げる)ために、このISPたちから接続サービスを買っているのだ!ということも分かりました。
インターネット行きの定期券を買ってるようなものですね。

「でもさぁ」
「"繋がり"って一度作っちゃえば終わりだよね?」
「最初に"繋ぐ"お金がかかるならわかるけど、何で毎月払わなきゃいけないの?」




ISPは「契約者をインターネットに接続させる」という事業をしています。
でもそれって何やってるか全然わかりません。
何を仕入れて何をつくって何を売っているのか?
結局何にお金がかかっているから、料金として回収しなくてはならないのか??

ここがわかりづらい理由は、ISP(というかインターネットサービス)が製造業ではないところです。ISPという事業は、一番近い分類ではインフラ事業、特に水道とおんなじと考えるとわかりやすいです。

水を運ぶのと同じように、ISPは情報を運んでいます。
水道局は水を届けるために水道管やポンプなど「水を運ぶ設備」を持っており、その運営維持費を水道料金として請求しています。ISPの場合も同じで、情報を届けるための設備を購入してその運営維持費をサービス提供料金として請求しています。
具体的には「ルーター」と呼ばれる機械郡でISPの「情報を運ぶ設備」は構築されています。

家庭で「ルーター」と言う言葉を聞いたことがあるかも知れませんが、ISPのように数十〜数百万人以上の情報通信を捌くようなクラスのルーターは大きさも値段も、そして消費電力も桁外れです(参考)。
これが群れをなして24時間365日稼動しているのです。

そしてもうひとつ、インターネットならではのユニークな費用があります。
それは「つながりを買う」費用です。

前回のおさらいですが、インターネットとはISP同士のつながりです。
自分のネットワークの中に繋げたい相手がいない場合は、その相手がいるネットワークまで、他のISPを渡り歩いていくことになります。

ここで、「通り道」にされるISPの立場になって考えてみましょう。
他のISPが自分の上位ISPに繋ぎたいがために、自分とは全く関係ない情報のやりとりが自分の設備を使って行われている状態です。

取り扱わなければならない情報の量が上がれば上がるほど、ルーターを高価な物に交換していかねばならず、また設備が増えるので電気代は上がっていきます。
とはいえここで設備を増やさなければ、扱う情報の量が設備に対して大きくなりすぎ「輻輳(ふくそう=いっぱいいっぱいになること)」してしまいます。
この輻輳が起きると、インターネット接続速度が極端に遅くなったりそもそも接続出来なかったりISPとしてはヤヴァイ事態になってしまうのです。

そこで、「通り道」にされるISPは下位のISPの情報を運ぶためにかかった費用を請求します。ここで立場をもとに戻すと、下位ISPは上位ISPから「繋がり」そのものと、自分がその繋がりから得た情報量に比例するだけの利用料を支払っていることになります。

ISPがインターネットサービスを提供するのにかかる維持費は、「電気代」そしてこの「接続費用」が大きなウェイトを占めています。これに営業費用や人件費(と、利益)がのっかって、僕たちが払うインターネット接続料は定められています。

「……あれ?」
「ISPが買う「繋がり」って、使えば使う分だけ払わなきゃなんだよね?」
「でも私達って月額いくらで使いホーダイの料金だよね?」
「…なんか矛盾してない?」

まさにそれが現在、インターネット全体が直面している問題です。
インターネットが定額制で使いやすくなり、便利なサービスがたくさん出てきたことで、みんなが気軽に大量のデータをやりとりできるようになりました(Youtubeなど)。またパソコンや携帯電話の画面がどんどん綺麗になると共に、インターネットで配信する写真も動画もどんどん綺麗に、つまりデータを増やしていきました。


家庭の平均的なデータ量が増えてしまったので、その分接続料は上がってしまいます。でもこれを気軽に値上げに結びつければ、お客さんは離れて行ってしまいます。
かといって今まで通りの料金では赤字になってしまいます。


この「インターネットの維持」という問題は結構複雑です。
最近の問題だとAppleが新しいiOSを発表するたびに接続費用が3割上がったり、とある違法動画アップロードサイトが閉鎖されたことで、別のサイトが立ち上がり、支払いのバランスが一気に変わったりと、インターネット上の出来事に連動してあわただしく状況が変化するからです。



ISPは、とにかく原価を削ってなんとかサービスを維持しようと日々努力しています。
具体的には上位ISPとの価格交渉にはじまり、機械をより効率的なものに入れ替えたり、接続費用を抑えるため、有名企業のサーバに直接接続させてもらい、上位ISPを経由せずにデータのやり取りを行なってもらうようネットワークを組み替えたり......。



インターネットの上では、巨大企業から個人のブログまで、あらゆるビジネスが動き、そしてその動きに連動して人が動き、お金が動き、お金の動きに対してISPがネットワークを組み替えたり繋がりを作りながら、インターネットというつながりを維持しようとして常に変化を続けています

このインターネットを維持しようとする動きは、中央政府が音頭をとっているわけでも、「ISP連合」なるものがあって総司令が命令しているわけでもありません。
それぞれのネットワークを司るISPが生き残るために独自に動いた結果が、作用しあってインターネットというつながりを自律的に維持させているのです。


インターネットの多くのサービスは無料で利用できますが、それを支えているたくさんの人が日々努力して「インターネット」を支えています。
そのことをなんとなく覚えていただければ、ネットワーク携わる者としてとても嬉しいです。